
こんにちは。新卒編集者のKです。
先日参加した社内研修「感情表現研修」についてご紹介します。
エンジニアというと、黙々とコードを書いたり、静かに画面と向き合っている姿を思い浮かべる方も
多いかもしれません。しかし、実際の業務においては、
チームとの連携や顧客との対話、仕様のすり
合わせや報告・提案など、“伝える力”が求められる場面が
数多く存在します。
そんな中で実施された今回の研修は、「声を使って想いを届ける」という普段あまり意識することの
ないテーマに正面から向き合う、大変貴重な機会となりました。

■ 「話す」という行為の再発見
研修のスタートは、「腹式呼吸」と「共鳴」のトレーニングから始まりました。
まず驚いたのは、自分が日常的にどれほど浅い呼吸をしていたかということ。胸で吸う浅い呼吸で
はなく、お腹を使って深くゆったりと呼吸をする「腹式呼吸」に切り替えることで、声が安定し、
響き方にも違いが出てきます。
さらに学んだのは、「下鼻甲介・中鼻甲介・上鼻甲介」という鼻の中の構造を意識して声を共鳴させる
方法。声を鼻腔に響かせることで、言葉がよりクリアに、力強く、そして“届く声”へと変わっていく
のです。
普段何気なく出している声に、これほどまでに身体的な工夫と技術が必要だったのかと、衝撃を
受けました。
■ 実践で試される、感情の表現力
基礎トレーニングの後は、いよいよロールプレイ形式の実践編。
今回のシナリオは、「居酒屋での口論」。2人1組で演じるこのロールプレイでは、冒頭の一言程度の
台本があるだけで、あとはアドリブで進行していきます。
シーンの設定はこうです:
「居酒屋で話していた2人が言い合いになり、やがて一方が代金を払わずに帰ってしまう――」
たったこれだけの設定から始まり、感情の起伏、相手の反応への即興対応、自分の言葉の選び方や声の出し方をすべて自分でコントロールしていかなければなりません。
初めての体験で最初は戸惑いがありましたが、呼吸や共鳴の感覚を思い出しながら演じるうちに、少しずつ感情が声に乗り、表現が生きてくる感覚を得ることができました。特に「怒り」「苛立ち」「困惑」など、普段は抑えてしまいがちな感情を“あえて表現する”という経験は非常に刺激的でした。

■ 想いを“伝える”から“届ける”へ
ロールプレイは2回行われ、1回目と2回目では自分の演技に明確な違いがありました。
1回目はどこかセリフが浮いてしまい、感情が表に出きらず、「怒っているつもりなのに、怒っている
ように聞こえない」といった感覚が残りました。
しかし2回目は、講師のアドバイスを受けて、自分の過去の体験や誰かの話を少しアレンジしてセリフに組み込み、「実感」を込めることに挑戦。結果として、声のトーンや間の取り方、表情にまで自然な感情が乗るようになり、聞いていた人たちからも「リアルだった」「自然に見えた」とフィードバックをもらうことができました。
この体験を通して、「ただ伝える」のではなく、「届ける」ためには、自分自身がまず“本気で感じる”
ことの重要性を学びました。
■ 自分自身の“声”と向き合う時間
今回の研修で、私は自分がいかに感情を抑えがちだったかに気づきました。
決して無感情というわけではありませんが、「わざわざ口に出さなくても伝わるだろう」「黙っていれば角が立たない」といった思考が、結果として“届かない声”を生んでいたのかもしれません。
しかし、感情を言葉にし、声にして表現することは、相手にとっても安心感や信頼を感じてもらう
きっかけになるのだと学びました。
■ エンジニアにも必要な「話し方」というスキル
今回の学びは、エンジニアという職種にこそ必要なスキルであると感じています。
私たちは日々、専門用語や抽象的な技術概念を扱う中で、相手がエンジニアであってもなくても、
「わかりやすく」「誤解のない形で」「自分の考えを的確に」伝える力が求められます。
会話が少ないイメージのある職種だからこそ、ひとつひとつの発言や提案が、相手の信頼や理解を
築く鍵となります。
だからこそ、声に気持ちを乗せる力、誠実に伝える姿勢は、間違いなく実務でも活きてくると確信しています。
■ 習慣化することで、“話し方”を味方に
研修で学んだ内容を、私はさっそく日常の中に取り入れ始めています。
例えば、お風呂の中や移動中など、人と話さない時間を活用して、「腹式呼吸+共鳴」を意識した母音の発声練習を行っています。
「あ・い・う・え・お」をしっかり響かせるだけでも、声の質が変わり、自分の感情が乗りやすくなるのを実感しています。
日々の積み重ねがやがて“自然にできる技術”になる。そう信じて、引き続きトレーニングを続けて
いきたいと思います。

■ おわりに:声は、想いを届ける最初の一歩
この研修は、単なる「話し方講座」ではありませんでした。
自分自身の内面を見つめ直し、相手との関わり方を考え直す――そんなきっかけを与えてくれる貴重な機会だったと思います。
“想い”を声に乗せることは、何よりも自分が本気で伝えたいという意思を持つことから始まります。
そしてその姿勢が、相手に安心感や信頼感を与え、良い関係性を築く第一歩になるのです。
今後の実務やチーム活動、そして人生のあらゆる対話の場面で、この学びを活かしていけるよう努めてまいります。